引き出しの奥で眠っている、お祖父様が愛用されていた太い喜平(きへい)のネックレスや、お祖母様のずっしりと重い金無垢の指輪。それらのジュエリーには、宝石のデザイン価値とは別に、素材そのものが持つ「世界共通の資産価値」が宿っています。私ども査定士が買取価格の絶対的なベースラインとして毎日確認しているのが、この「地金相場」です。
1.地金相場とは?(買取価格の土台)
「地金(じがね)」とは、金(ゴールド)やプラチナ、銀といった貴金属の塊(インゴット)や、その素材そのものを指します。地金相場とは、これら貴金属の国際的な市場取引価格のことです。株価と同じように、世界情勢(戦争やインフレなど)や各国の金融政策、そして「為替(円高・円安)」の強烈な影響を受け、土日祝日を除く毎日、リアルタイムで変動しています。「有事の金」と呼ばれるように、世界情勢が不安定になるほど安全資産である金への需要が高まり、相場は上昇する傾向にあります。
2.マニアが唸る歴史的背景:「ロンドン・フィキシング」と「トロイオンス」
地金相場を語る上で欠かせないのが、イギリスのロンドン市場です。世界の金価格の指標は、1919年から始まった「LBMA金価格-ロンドン・ゴールド・フィキシング(値決め)」という歴史的な儀式によって長年決定されてきました。これは、名門ロスチャイルド家のオフィスに世界の5大金塊商が集まり、各々の机に置かれた小さなイギリス国旗(ユニオンジャック)を立てたり倒したりしながら、売りと買いのバランスが一致するまで価格を調整するという、極めてアナログかつミステリアスな手法でした。(現在は電子化されています)。
また、金の国際取引ではグラムではなく「トロイオンス(TroyOunce/略称:toz)」という特殊な単位が使われます。1トロイオンスは約31.1035グラム。この名前は、中世フランスのシャンパーニュ地方にあった商業都市「トロワ(Troyes)」の市場で使われていた重量単位に由来しており、何百年も前のヨーロッパの歴史が、現代の買取査定にも直結しているという途方もないロマンが隠されています。
3.買取査定の現場で「地金相場」はどのように使われるか?
私どもは、毎朝更新される国内の公表相場(1グラムあたりの単価)と、お持ち込みいただいたジュエリーの純度・重量を掛け合わせ、さらにデザイン性を加味して以下のようにご説明いたします。
【例文1:昭和の金製品が、数十倍の価値に大化けしているケース】
「お持ちいただいた18金(K18)の極太の喜平ネックレスですが、重さが100グラムございます。お客様がお買い求めになられた昭和の時代、金の地金相場は1グラム1,000円〜2,000円台だったはずです。しかし、1971年の『ニクソン・ショック』以降、金は米ドルから切り離されて上昇を続け、現在の相場は当時の数倍〜十倍以上に高騰しております。ご購入当時の価格を遥かに上回る、驚異的なプレミアム価格でのお買取りとなります。」
【例文2:プラチナ神話の崩壊と「金白逆転」をご説明するケース】
「こちらのプラチナ(Pt900)のリングですが、当時の日本では『金よりもプラチナの方が高級で高価』という常識がございました。しかし現在、国際的な地金相場では2011年後半から、プラチナよりも金の方が圧倒的に高値となる『金白逆転(きんぱくぎゃくてん)』という歴史的な現象が起きております。とはいえ、こちらのリングは単なる地金の重さだけでなく、素晴らしい彫金細工が施されておりますので、プラチナの相場に『製品としての芸術価値』を大きく上乗せして査定いたしました。」
4.純度を証明する「ホールマーク」と「アッセイ」の秘密

お客様のジュエリーが本物の金やプラチナであるかどうか、私どもはどこを見て判断しているのでしょうか。それは、指輪の内側やネックレスの留め具に打たれた極小の刻印です。
- 日本の造幣局検定マーク(ホールマーク):日本の国旗(日の丸)と、ひし形の中に純度(例:750=18金)が刻印されています。これは国の機関が品位を証明した絶対的な証です。
- 海外のアッセイ・オフィス(分析所)の刻印:もしお客様のジュエリーがフランスのアンティークであれば、「鷲の頭(18金の証明)」や「犬の頭(プラチナの証明)」といった非常にマニアックな動物の刻印が打たれていることがあります。イギリスであれば、王冠やヒョウの頭などです。
これら世界各国の刻印(ホールマーク)の歴史と意味を完全に熟知しているからこそ、当店はどのような年代・生産国のジュエリーであっても、その地金の価値を1ミリの狂いもなく正確に評価できるのです。
5.【プロの着眼点】「潰し(スクラップ)」と「製品」の境界線
ここで、買取業界における最大の裏話(プロの着眼点)をお伝えします。一般的な買取店や量販店に金やプラチナを持ち込むと、デザインには一切見向きもせず「本日の相場×重さ=買取価格」として計算され、そのまま溶かして別の貴金属の材料にする「潰し(スクラップ・リファイニング)」として処理されてしまうことが多々あります。
しかし、皆様が大切にされてきたジュエリーは、一流の職人が手作業で彫りを入れたものや、現在は廃盤となってしまった有名ブランドの作品であるケースが非常に多いのです。当店では、地金相場という絶対的な土台を保証した上で、そのジュエリーが溶かすべき「スクラップ」なのか、それとも次世代へ受け継ぐべき「美術品(製品)」なのかという境界線を極めて厳格に見極めます。
ただ重さを量るだけの査定はいたしません。「金相場が上がっているから高く売れる」という事実の上に、さらに「職人の技」や「アンティークとしての希少性」という付加価値を上乗せすること。それこそが、歴史ある街で私どもが選ばれ続ける最大の理由なのです。
お問い合わせはこちら
少しでも気になることがございましたら
まずはお問い合わせください。
店舗情報

| 店名 | 買取専門店 ReLight(リライト) |
|---|---|
| 住所 | 〒659-0094 兵庫県芦屋市松ノ内町2-2 |
| 電話 | 0797-90-2020 |
| 営業時間 | 11:00〜20:00 |
| アクセス(電車) | JR芦屋駅 北改札出口より徒歩3分 |
| アクセス(車) | 店舗前にコイン式パーキングあり ※査定のみでも駐車料金ご負担いたします。 |








